空色ノート
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2つの未来①

『魂の法則』より
※魂の法則とは、スペインの化学博士、ヴィセント・ギリェム氏が体外離脱体験で出逢ったイザヤという老人から受け取った霊的メッセージをまとめたもの。
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おわりに


 ある時イザヤと話していると、「今日は弟の君に見せたいものがあるので、身体から抜け出てもらいたい」と言われた。
 

 そのとたんに僕は体外離脱をしていて、イザヤによく案内される例のたいそう美しい場所のガラスのピラミッドの一つに、超スピードで送り込まれていた。それから、円形の劇場のようなところに連れて行かれた。その真ん中には丸いステージがあって、周りを座席が取り囲んでいた。ステージの中央には台のようなものがあり、その上に磨きあげられた大きな透明な石が載っていたが、それは水晶のようだった。

 「好きなところに座りなさい」とイザヤが言った。

 後からは、僕のように付き添いのいる人たちが何人も入ってきて、座席を埋めていった。その人たちは僕と同じ人間で、付き人たちは、ローブをまとった姿とその輝くオーラから、ガイド役の霊たちと思われた。皆、僕のように座っていったが、ガイド役たちはイザヤと同じように中央に進み出て、石を載せた台の周りで、手をつないで円形を組んだ。そうするうちに室内の電気が暗くなっていって、ほぼ消えた状態になった。
 見ていると、水晶のガラス面がだんだんと光り始め、突然、その光が射るように天井に撃ち上げられた。どういう仕組みだかわからないが、それによって中央の丸いステージの部分全体が明るく照らされ、光り輝く筒型となった。それから、その輝く筒はどんどんと大きくなっていって、皆をその内部に取り入れるように、室内の僕たちを包み込んだ。

 「怖がる必要はない。何も危害は及ばない。これから見るものに注意を払いたまえ」という声が頭の中で聞こえた。光が徐々に弱まり、映像が見え始めた。それは立体映画と似ていたけれど、真に迫っていて、本当にその中にいるように思えるほど、すごくリアルだった。画像も完璧だったので、実際にその場所にいると断言できるほどだった。

 画面に、多くの聴衆を前に演説をしている政治家らしき人たちが現れ、熱狂した群衆は拍手をしたり何やら叫んだりしていた。話している言葉はわからなかったが、考えていることは読むことができた。政治家たちは、別の存在たちから指示されていたのだ。姿は見ることはできなかったが、彼らはダークな存在で、話している政治家たちに暗い波動を送っていた。戦争を始めるようにと、そそのかしていたのだ。
 政治家たちが話をすると、それにつれてその暗い気の流れは、霧のように群衆へと広がっていって皆を染め、人びともこの薄暗い霧まみれになってしまった。怖れ、憎悪、狂信の大きな流動を感じ取り、僕は強い衝撃を受けた。

 それからその映像は消え、今度は軍隊が行進している様子が見えた。次に、飛行機、戦車、戦艦、歩兵戦闘車、ミサイル発射機などがフル回転している画像が映り始め、機関銃を手にした兵隊が戦闘準備を始めていた。そのうち爆弾が投下されだし、落とされていく先々では、爆撃がすべてを破壊していく。
 僕たちは、男の人も女の人も子どもも、多くの人びとが死んでいくさまを見せられた。中には、弾丸に蜂の巣のように射抜かれたしまった人も、爆弾で身体の一部が吹き飛ばされてしまった人も、焼け焦げになってしまった人もいた。また、兵士たちが女の人たちを力づくで平然とレイプし、その後で情け容赦なく殺していくのを見た。囚人たちは、殴られ、拷問されて殺されていった。町や村や畑は破壊尽くされ、至るところに死体という死体が散乱していた。

 本当にその場で起きているみたいに思えたので、それは僕が生涯で経験した最も恐ろしい出来事だった。僕だけでなくその場の皆も、全員がショック状態だった。そのうち、飛行船に乗せられて急上昇したかように、いつしか上方からすべてが崩壊していくのを眺めていた。
 ミサイルが空から注ぎ、そのうちの一つが大きな街に的中するのを見た。凄まじい轟きと共に、爆風の火玉が息を呑むような破壊力で燃え広がり、すべてを焼け尽くし、そこからもうもうと立ち上る埃は、巨大な雲となった。焼け野原と成り果てた領域の広さは測りかねたが、それは巨大だった。

 しばらくすると、その爆発からかなり離れた地面の上に戻されて、そこから雲の形を見てみることができた。広島や長崎の原子爆弾のきのこ雲と同じものだったが、もっと威力が強く破壊的な爆音に感じられた。そして、それと同様な原爆があちらこちらで炸裂するのが見えた。
 それは、地獄のような光景だった。場所によっては、すべてがなぎ倒されてしまい、全く何も残っていなかった。何もかもが灰燼に帰してしまったのだ。廃墟が残っているところもあったが、ずたずたになった遺体がそこら中に転がっていた。ボロをまとった憔悴しきった生存者たちは、爆心地から逃げようとして、あてもなく彷徨っていた。映像はそこで終わった。

 それから別の映像が始まると、地球のどこかで大地が揺れ出し、沢山の亀裂が走るのが見えた。相次ぐ大地震で、かろうじて残存していた物も崩壊してしまった。あちこちで火山が爆発し、どこかしこでも溶岩が、荒廃しきった地面をさらに焼き尽くしながら流れていった。また、言葉にできないほど大きな地響きも聞こえた。そこの大地は、陥没しつつあったのだ。
 僕たちは同時に、さまざまな場所のビジョンを見せられたが、どこでも同じような天変地異が起きていた。沈没する陸地によって周囲の海の波はそそり立ち、巨大な津波と化した。津波がまだ沈んでいない大陸の沿岸に達すると、すべてのものが飲み込まれていったが、それは測り知れないほどの域にわたっていた。海にどっと流れ込む溶岩で莫大な水蒸気がたちこめ、空は瞬く間に厚い雲に覆われてしまった。そして、凄まじい嵐と暴風雨に襲われると、日の光は消え失せてしまった。

 その後、僕たちは地表から少しずつ離れていき、宇宙から地球全体を眺めるに至った。暗澹たる光景だった。青い海も緑や褐色の大地も、白い雲さえもそこにはなかった。どんよりとした灰色の大気に覆われた球体で、大地さえも垣間見ることができなかった。僕たちの地球のそのような運命を見るのは、何と悲しかったことか!
 ビジョンはそこで終わった。筒型のスクリーンは、再び部屋の中ほどまでに縮小して消えた。そして劇場の照明はまた明るくなったが、そこにいた僕たち観客は皆、ショックから抜け出せないままだった。

 ガイド役の一人が部屋の中心へ歩み出て、ガラスの水晶を取り上げると、それを別のものに変えた。我に返る猶予も与えられないまま、前と同じように筒型のスクリーンが作動し出し、僕たちはまたもやその立体映像の中に取り込まれた。

 ダークな存在にネガティブな波動を送られながら戦争を鼓舞する演説をしていた、以前と同じ政治家たちが現れた。だが彼らは、今度はそれをテレビ局から行っていた。テレビを通して、他の国々と戦争を始める決定を伝えていたのだ。でも、人びとの反応は前とは違っていた。集会を行ってはいたが、今度は好戦的な政府を支持するためではなく、政府に対して抗議をするためだった。
 大規模なデモが繰り広げられ、政府は軍や警察に命じて、市民を取り締まりデモを鎮圧しようと懸命だった。しかし、軍も警察も市民の弾圧に加担することを拒否し、抗議運動に加わった。躍進する市民革命に政府は転覆させられ、政治家たちは逮捕されて投獄された。戦争に突入しようとしていた国々では、どこでも同時に似たことが起きていた。

 それから、かつての政治家たちとは全く異なる印象を与える人たちが登場した。彼らは、明るい波動を送る光の存在たちに付き添われており、市民にもその波動を伝えていた。謙虚さと冷静さが伝播し、平和と愛を伝える光の輪が波及していくのがわかった。新しい指導者たちは、暴力的な活動の一切を禁じ、人類が新たに進むべき道を決めるために一種の国際議会を設立した。
 次のビジョンでは、戦闘用の機械がすべて解体されて溶かされて、軍も解隊されると、世界を大戦の淵に追い込もうとしていた者たちが裁判にかけられた。そして僕らは、この英断の後で――それがどのくらい後のことなのかはわからなかったが――地球に起きた変化を観てみることになると、テレパシーで告げられた。

 何もかもが良い方向に変わっていた。市民の日常生活からは、戦争も紛争も、貧困や階級の差もなくなっていた。人びとは調和を保ちながら暮らし、幸せ一杯の顔をしていた。そこで映像は、先程と同じく宇宙から眺めた地球の姿を映し出すと、終了した。
 初めのものとは、なんと対照的な眺めだったことか! 前とくらべて、地球がどれほど美しく見えたことか!

 筒型のスクリーンは、再び部屋のステージの大きさに縮まり、そして止まった。



へ続く・・・
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